「インドネシアにおける取締役の責任追及に関する法制度度の概要について」

(1) 取締役の責任

会社法2007年第40号(以下、「会社法」といいます)では、取締役は会社の目的および目標達成のため、会社の利益のために会社を経営する義務を負い、会社経営において誠意をもって行動しなければならないとされており、取締役は会社に対し忠実義務を負っていると解されています(会社法第92、98条)。

 また、取締役会は、株主名簿、特別株主名簿、株主総会議事録および取締役会議事録ならびに年次報告書その他財務諸表を作成し、本店所在地に保管する義務があります(会社法第100条)。

(2) 取締役の利益相反

会社法上、取締役が会社と利益相反する行為は禁止されています(会社法第97条)。会社と取締役が利益相反の関係にある場合は、取締役は会社を代表することはできません(会社第99条)。この場合、以下に該当する者が会社を代表することになります(会社法第99条)。

  1. 会社との間で利益相反の関係にない他の取締役
  2. 全取締役が会社との間で利益相反の関係にある場合にはコミサリス会、または、
  3. 全取締役およびコミサリス会が会社との間で利益相反の関係にある場合には株主総会が指定した第三者

(3) 取締役の責任追及

取締役は、義務遂行における過失または故意により会社に損害が生じた場合には、当該損害について完全かつ個人的に責任を負うこととされており、取締役が2名以上で構成される場合には、連帯責任を負います。ただし、以下の事項が証明される場合、取締役は責任を負いません(会社法第97条)。

  1. 損害が当該取締役の故意または過失によるものではないこと。
  2. 会社の目的達成のために誠実かつ注意義務を尽くして経営を行ったこと。
  3. 当該損害発生につながる経営判断について、直接・間接を問わず利益相反が存在しなかったこと。
  4. 損害を回避するために必要な予防措置を講じていたこと。

また、取締役の故意または過失により会社に損害が生じた場合、議決権を有する株式の少なくとも 10%以上を保有する株主は、会社に代わり、地方裁判所に対して損害賠償請求を提起することができることが規定されています(会社法第97条)。