「マレーシアの株主総会の運用方法および決議要件の概要について」

(1) 概要

会社法上、年次株主総会の開催義務があるのは公開会社のみであり(会社法340条⑴)、非公開会社は、定款に特段の記載がない限り、年次株主総会の開催義務はありません。

(2) 株主総会の運用方法

(ア) 招集通知

株主総会を開催する場合、非公開会社においては、普通決議事項については総会開催日の14日前(定款でより長期間の日数を定めた場合はその日数)(会社法316条⑴)、特別決議事項については21日前に招集通知を送付する必要があります(会社法292条⑴)。また、次の事項については、28日前に招集通知を送付する必要があります。

    ・ 取締役の解任(会社法206条⑶)

    ・ 会計監査人の解任又は退任する会計監査人に代わる別の会計監査人の選任(会社法277条⑴、280条⑵)

    ・ 清算人の解任(445条⑶)(イ) 開催方法(物理的・電子的)

(イ) 通知の方法

招集通知は、ハードコピー、電子的方式、又はそれらの併用の形で、文書により行います(会社法319条⑴)。ハードコピーの招集通知については、直接の交付又は株主が指定した住所への郵送により行います。電子的方式の招集通知については、株主が指定した電子メールアドレスへの送信又はウェブサイトへの掲載により行います(会社法319条⑵)。招集通知をウェブサイトへ掲載する方法により行う場合、あらかじめ、株主に対して、ハードコピー又は電子的方式による文書で、招集通知をウェブサイトへ掲載する方法により行う旨を通知しておく必要があります(会社法320条)。

(ウ) 定足数

株主が1名のみの場合:その株主の出席により充足します。それ以外の場合、2名の株主またはその代理人の出席により充足します。ただし、定款で別途の定めを置くことも可能です(会社法328条⑵)

(3) 株主総会の決議要件の種類

(ア) 普通決議

普通決議事項は、議決権を有する株主の過半数が賛成することにより可決されます。書面決議による場合、普通決議事項については議決権割合で過半数以上の株主が賛成の署名を行った場合に、可決されることになります(会社法291条⑴)。普通決議事項は主に次のとおりです。

・ 取締役の選任(会社法202条⑵)、解任(会社法206条⑴)

・ 役員報酬の決定(定款の定めがある場合は取締役会承認で可。会社法230条⑵)

・ 会計監査人の選任(会社法267条⑷)、解任(276条)

・ 新株発行(会社法75条⑴)、増資(会社法84条)

・ 取締役等への会社貸付け(会社法224条⑶)

・ その他株主総会決議事項のうち、会社法において決議の種類が定められていない場合(会社法290条(3))。

ただし、定款で別段の定めが存在する場合は定款に従うこととなります。

(イ) 特別決議(Special resolution)

特別決議事項については議決権割合で75%を超える株主が賛成の署名を行った場合に可決されることになります。特別決議を経る必要がある事項は主に次のとおりです。

・減資(会社法115条等)

・社名の変更(会社法28条)

・定款の作成、変更(会社法32条⑴、36条⑴)

・会社形態(公開会社・非公開会社)の変更(会社法41条)

・株主による任意清算(会社法439条⑵)

(ウ) 書面決議(Written Resolution)

会社法には、株主総会で決議すべきものとして定めた事項(以下「株主総会決議事項」といいます。)が存在します。非公開会社の場合、株主総会決議事項について、株主総会を開催した上での決議ではなく、書面による決議により意思決定を行うことが通常です(会社法297条⑴)。ただし、次の事項については、書面による決議を用いることはできず、株主総会を開催の上で決議を得る必要があります(会社法297条⑵)。

・取締役の解任

・会計監査人の解任