(1) 連邦経済競争法の概要
昨年改正のあった連邦経済競争法(Ley Federal de Competencia Económica:LFCE)について、その概要を記載します。同法は、憲法第28条に基づく競争法制として、自由競争・自由参入及び経済上の競争を確保するための規律を定めた法律です。対象としては、競争制限的な行為(反競争的な協定・カルテルを含む)、市場における排除や支配につながる行為などの絶対的及び相対的な独占的行為のほか、違法な企業結合に及びます。そしてそれらの行為について、調査、審理・決定、是正措置、制裁、情報の取扱いの枠組みが規定されています。違反に対しては、行為の中止・排除や是正、結合の解消等の措置に加え、罰金等の制裁が規定されています。
(2) 2025年連邦経済競争法の改正点
①執行機関の再編
従来の競争当局である連邦経済競争委員会(Comisión Federal de Competencia Económica:COFECE)に代わり、国家反独占委員会(Comisión Nacional Antimonopolio:CNA)へ移行する制度が整備されました。CNAは、連邦行政組織に属する分権的公的機関として、経済省(Secretaría de Economía)の所管の下に置かれつつ、法的主体性と独自の財産を有し、意思決定・組織・運営に関して技術的及び運用上の独立性を備えるものとされています。
統治機関として合議体が置かれ、委員長を含む5名の委員で構成され、連邦行政府による指名と上院による承認を段階的に行う仕組み、委員の任期(7年)及び委員長の任期(3年、1回に限り延長可)等が規定されています。
②主な追加及び改正条項
2025年改正では、実体及び手続面でも複数の追加や改定が行われました。企業結合の審査に関し、事前許可が必要となる取引類型の金額基準が定められています。また、予防や検知を目的とするコンプライアンス・プログラムを当局が認証する制度や、反競争的行為について、個別又は集団の損害賠償請求を当局決定後に提起できる制度が盛り込まれました。
さらに、同法に第4編「通信・放送分野」が新設され、全国シェアが50%超であること等を基準に「優越的経済主体」の該当性を判断するための枠組みが規定されています。加えて、周波数の集中、新たな免許の付与、放送・通信間のクロスオーナーシップについて、一定の場合に制限を課す規定が設けられました。






