「フィリピンのトピック、最新の法令等の紹介について」

(1) はじめに

フィリピン進出を検討する企業にとって、外資規制は最初に確認すべき点です。特に、以下の点に留意する必要があります。

・業種によっては100%外資が認められない

・株主構成に応じて取締役の国籍割合を調整する必要がある

・主要役職に特有の国籍・居住要件がある

(2) 外資規制下での役員構成ルール

①取締役に関する要件

外資規制対象会社では、株主の出資比率と取締役の国籍割合を一致させる必要があります。たとえば、フィリピン人が60%株式を保有している場合、取締役の60%以上をフィリピン人とする必要があります。

なお、取締役の主な要件は以下のとおりです。

・原則2名以上(1名の場合はOPCという異なる会社形態になります。)

・外国人でも就任可能

・フィリピン居住は不要

・株式を保有していることが必要

②主要役職者に関する要件

取締役以外にも、President(社長)、Secretary(秘書役)、Treasurer(財務役)について特有のルールがあります。秘書役・財務役は日本には無いポジションですが、フィリピンでは会社設立時に必須の役職です。

特に重要なのは以下の点です。

・Secretaryはフィリピン国籍・居住者であることが必要

・外資規制下ではPresidentに国籍制限がかかる

・兼任禁止ルールが存在する

(3) 外資規制(ネガティブリスト)

フィリピンの外資規制は、Foreign Investment Negative List(ネガティブリスト)により整理されています。具体的には、以下が整理されています。

・外資が完全に禁止される業種

・外資比率に上限がある業種

外資規制を踏まえて、進出検討時の基本ステップは以下の流れになります。

ⅰ事業内容の整理

ⅱネガティブリストとの照合

ⅲ出資上限の確認

JETROが日本語訳を公開していますが、英語の正式版と併せて確認することが重要です。

(4) 特に注意が必要な業種

①小売業

外国人が小売業(飲食業を含む)の株式を40%超保有する場合、2,500万ペソ以上の資本金が必要です。

② 国内向けビジネス

輸出事業ではなく、国内市場を対象とする事業については、原則として20万米ドル以上の資本金が必要です。

(5) 実務上の留意点

外資規制の難しさとして、以下のような問題があり、「条文を読めば明確」とは限りません。

・事業内容の解釈によって結論が変わり得る

・行政庁の明確なガイドラインが存在しない場合がある

 そのため、出資比率の設計段階から専門的な検討が不可欠です。