日本のトピック、最新の法令等の紹介

(1) AI生成物の著作物性                                                        

 前回のニュースレターでは、生成AIの出力が他人の著作権を侵害しないかという侵害の観点を取り上げました。今回は逆に、生成AIを用いて作成した文章・画像等それ自体が著作物として著作権法上保護されるか、という権利取得の観点をご紹介します。商用利用する自社コンテンツについて著作権が発生していなければ、第三者による模倣・無断利用を差し止められない可能性があり、実務上重要な視点であるといえます。

(2) 著作物性の判断基準

文化庁が令和6年3月15日に公表した「AIと著作権に関する考え方について」では、AI生成物が著作物として認められるには、人がAIを道具として利用しつつ、創作意図及び創作的寄与が認められることが必要とされています。具体的には、①創作的表現を具体的に示す詳細な指示・入力を行った場合、②生成物を確認しながら指示・入力を修正して試行を繰り返した場合、③生成後の成果物に人が創作的表現といえる加筆・修正を加えた場合には、その部分について著作物性が認められやすいとされます。他方、抽象的なアイデアを示すにとどまる指示、複数の生成物から選ぶだけの行為、単なる試行回数の多さは、それ自体では創作的寄与を基礎づけないとされている点に注意が必要です。

(3)実務上の注意点

自社の生成AI成果物について著作権による保護を確保したい場合、簡単なプロンプトを一度入力して得られた結果をそのまま利用するのではなく、具体的な表現方針を示す指示を行い、結果を確認しながら指示を修正して試行を繰り返し、さらに人の手による創作的な加筆・修正を加えるプロセスを経ることが望ましいといえます。また、後日の著作物性の立証に備え、指示内容の変遷や加筆・修正の過程を記録・保存しておくことも有用といえるでしょう。