メキシコのトピック、最新の法令等の紹介

(1) 産業財産権保護法規則の概要

2026年4月28日、メキシコの連邦官報において、産業財産権保護法の新たな施行規則(Reglamento de la Ley Federal de Protección a la Propiedad Industrial)が公布され、一部の規定を除き、2026年7月23日に施行されました。なお、新規則の施行時に係属中の案件については、原則として、その申請時に有効であった規定に従って手続が継続されます。旧規則が全79条でであったのに対し、新規則は全202条となり、全10章で構成されています。

(2) 新規則で新設された章の概要

① オンラインによる行政上の侵害認定手続(第184条~第189条)

規則では、行政上の侵害認定手続について、法律上の利益を有する者の申立てにより、メキシコ産業財産庁(Instituto Mexicano de la Propiedad Industrial:IMPI)の電子サービスを通じてオンラインで行うことができる旨が定められています。当事者は、電子署名を用いて電子ファイルにアクセスし、文書を提出することができます。電子署名付きの電子文書等は、自筆署名のある文書と同一の効力及び証拠価値を有します。電子サービスは1年を通じて毎日24時間稼働し、休日に提出された文書は翌営業日に提出されたものとして取り扱われます。なお、本手続に関する規定は、実施のための合意(Acuerdo)が連邦官報に掲載された日の翌日に施行されることとされており、2026年8月20日現在、まだ施行されていません。

② 特許・登録の決定を求める手続(第190条~第192条)

特許又は登録の手続について、所定の期間内にIMPIが最終決定を行っていない場合、IMPIに決定の発出を求める手続を申請することができます。申請には、対象となる申請等の提出日、事件番号及び決定の発出が認められるべき理由を記載する必要があります。最終決定までの期間を算定する際には、申請人に起因する遅延、法律及び規則に定める追加期間、IMPIの作為若しくは不作為に起因しない期間又はIMPIの管理が及ばない期間、休日、不可抗力等は算入されません。

③ 技術移転登録簿(第193条~第196条)

IMPIが管理する技術移転登録簿が設けられ、ライセンス契約、知的財産権の譲渡、秘密保持契約、共同研究契約など、技術又は知識の移転を伴う契約等のうち、当事者が第三者に対する効力を求めるものが登録されます。登録は契約自体の有効要件ではありませんが、第三者に対抗するための要件とされ、登録されていない場合でも当事者間における効力には影響しません。登録された契約等については、当事者、関係する産業財産権、有効期間、適用地域などを記載した公開版が作成されます。公開に際しては、営業秘密や当事者の競争上の地位を損なうおそれのある情報は保護されます。

④ 裁判外紛争解決手段(第197条~第202条)

行政上の侵害認定手続において、IMPIは、代替的紛争解決手段により、産業財産に関する紛争の和解による解決を促進することができます。和解手続は任意性、秘密保持、公平性等の原則に従い、対面のほか、ビデオ会議等のオンライン方式でも実施できます。和解は、IMPIによる最終決定が出される前であれば、第三者の権利を害さず、公序に反しない限り、手続のいずれの段階でも行うことができます。和解により成立した合意は書面又は電子形式で作成され、権限を有する当局の承認後は、当事者を拘束する効力を有します。