フィリピンの60-40規制:「株数では60%、出資額では1.5%」は許されるか
フィリピンで土地を保有する現地法人は、憲法上、株式の60%以上をフィリピン国民が保有していなければなりません。現地法人でよく見かけるのが、額面の低いA種株式をフィリピン人に、額面の高いB種株式を日本側に割り当てる設計です。株数では60対40、しかし出資額では日本側が98%超という構造です。
この適否は、SECが定める2段階テストで判定されます。第1段は「議決権のある発行済株式」の60%以上がフィリピン国民保有か、第2段は「議決権の有無を問わない全発行済株式」の60%以上がフィリピン国民保有か。両方を満たす必要があります。
重要なのは、いずれも「株数」で数える点です。払込金額は考慮されません。したがって上記の構造は、額面差にかかわらず形式的にはテストを通過します。
なお「A種・B種それぞれに60%要件がかかるのでは」という疑問をいただくことがありますが、最高裁はクラス別の適用を明確に否定しています。
もっとも、テストを通ることと安全であることは同義ではありません。フィリピン人株主の出資が名目的な場合、Anti-Dummy Law上の問題が残ります。
実務上の確認ポイントは①定款のA種・B種の配当・残余財産分配条項(株数比例か額面比例か)、②フィリピン人株主の出資原資となります。






