バングラディッシュのトピック、最新の法令等の紹介

⑴ バングラデシュ2026–2029年輸入政策令(Import Policy Order 2026–2029)の概要

 2026年8月24日、バングラデシュ商務省は、2026–2029年輸入政策令(Import Policy Order 2026–2029、以下「本令」といいます)を公布しました。本令は従前の2021–2024年輸入政策令に代わるものです。

 本稿では、原材料及び部品の輸入に関する規定を中心に解説いたします。

⑵ 信用状(L/C)なしの輸入における価額上限の撤廃

 最も重要な改正点は、代替的な決済方法による輸入代金の支払いについて、価額の制限が撤廃されたことです。本令6条⑶は、産業部門及び商業部門向けに輸入可能なすべての原材料及び物品について、信用状(L/C)を開設することなく、売買契約に定められた価格及び数量に基づき輸入することができる旨を明文で規定しています。したがって、輸入政策令(IPO)又はその他の法令に別段の明示的な定めがない限り、信用状の開設以外の代替的な決済方法を用いて物品を輸入する場合について、一般的な価額の上限は設けられていません。

⑶ 100%輸出志向産業向け原材料の輸入条件

 本令25条は、既製服、専門繊維・ニット製品、皮革及び皮革製品、造船業並びに家具・什器製造業といった、100%輸出志向型の製造業を対象に、原材料輸入に関する詳細な条件を定めています。

① バック・トゥ・バックL/Cによる原材料の輸入

 輸出向け製品の原材料及び梱包資材については、確認済みかつ取消不能な輸出向けL/C又は売買契約を裏付けとして、バック・トゥ・バックL/Cにより輸入することができます。この場合の期限管理も定められており、原則として輸入の日から12か月を超えて未決済の状態に置くことができません。国内(インランド)バック・トゥ・バックL/Cについては、輸入から9か月以内に決済を行う必要があります。

② 最低付加価値率(Minimum Value Addition)

 輸出時には、FOB価格に対して、品目ごとに定められた最低付加価値率を満たす必要があります。たとえば、1ダースあたりのFOB価格が60米ドル以下のウーブン及びニット衣料については30%、60米ドルを超える場合は10%とされています。また、ベビー服には15%、下着・合成繊維特殊製品、靴・皮革製品、非皮革靴・バッグ、船舶、家具、アルミホイル(厚さ5.3〜6ミクロン)には、それぞれ20%の最低付加価値率が求められています。この付加価値率の充足は、原材料の無償輸入等の一定の優遇措置を利用する上で重要となります。

③ 無償(Free of Cost)輸入の上限

 本令は、無償(FoC :Free of Cost)で輸入する原材料及び消耗品についても、その輸入上限を定めています。上限は、品目に応じて前年度の輸出額や発注額等を基準として設定されています。既製服、ウーブン衣料及びベビー服については、綿織物のFoC輸入を前年度の輸出額の50%を上限として認めています。また、化学繊維織物については、Utilization Declaration(UD)の承認範囲内で、発注額の70%を上限として輸入することができます。下着及び合成繊維製品について使用する合成繊維織物についても、発注額の70%が上限とされています。靴・皮革製品及び非皮革製の靴・バッグについて使用する皮革、ソール等については、いずれも前年度輸出額の60%を上限としてFoC輸入が認められています。船舶については、鋼材、機械、電気製品、艤装品等について国際船級協会(IACS)及び主任検査官(Principal Officer)の証明に基づき輸入することができます。家具については、木材が前年度輸出額の40%、織物が20%、金物部品が10%をそれぞれの上限とする内訳が定められています。

④ コンサインメント方式による原材料調達

 バングラデシュ既製服製造輸出業者協会(BGMEA)又はバングラデシュニットウェア製造輸出業者協会(BKMEA)が発行するユーティライゼーション宣言(UD)に基づき、皮革製品・履物、造船及び家具分野の原材料については、コンサインメント方式による原材料の調達が認められています。この場合、インボイスに輸入貨物の品目、数量、価額を明記する必要があります。原材料・梱包資材については工場間移送(Inter Bond Transfer)による移管・移送が認められているほか、グレー生地・ニット生地・白生地についても、染色・印刷・加工工場への移送が認められています。