フィリピンのトピック、最新の法令等の紹介

フィリピン子会社への日本人技術者派遣──出向協定と業務委託の選択

日本からフィリピン子会社へ技術者を派遣する場合、グループ内出向の協定書をそのまま用いる例が多く見られます。しかし近時、資本関係のない他社の社員を一定期間常駐させたいという相談が増えており、グループ内出向を前提とした協定書では対応しきれない論点が生じています。本稿では、出向と業務委託の選択にあたって整理すべき点を、労務・ビザ・税務の観点から概説します。

1. 出向と業務委託の区別

出向(secondment)は、出向元との雇用関係を維持したまま、出向先の指揮命令の下で就労する形態です。これに対し業務委託(service agreement)は、派遣元企業が自らの指揮命令の下で役務を提供し、受入側は役務の提供を受けるにとどまります。両者を分ける基準は契約の名称ではなく、現場で誰が指揮命令を行うかという実態です。受入側の管理者が日常的に業務指示を行うのであれば、契約上の表題にかかわらず出向と評価されます。

2. ビザ:日本側に雇用関係を残したまま9(g)を取得できるか

フィリピンの就労ビザ(9(g))は、実際に就労させるフィリピン法人が申請者(petitioner)となり、外国人雇用許可(AEP)もフィリピン法人を雇用主を特定して発行されます。出向スキームでも、業務委託スキームでも問題なく就労ビザ(9(g))を取得できます。日本側の雇用関係を維持したまま9(g)を取得した実例は存在しますが、その多くはグループ内異動(ICT)の枠組みによるものです。資本関係のない会社間の派遣について同一の論理が適用されるかは別途検討を要し、契約型サービス提供者(CSS)等の枠組みによる整理が可能かを個別に確認する必要があります。