(1) 外資規制・外資奨励
バングラデシュに進出するに当たり、禁止・規制業種や出資比率などの外資規制を確認する必要があります。
工業省「国家産業政策令2016」において、①禁止業種(4業種)、②規制業種(22業種)が規定されており、金融業などの規制業種については主に政府の認可等が必要です。また、業種によっては、外資出資比率の制限があります。具体的には、保険業の外資出資比率は60%まで(2013年4月9日付 SRO No.53.005.022.05.00.076.2011-96)、運搬・運送(C&F)エージェントの外資出資比率は49%まで(2017年7月26日付 SRO No.247/AIN/2017/62/Customs)、海外への労働者派遣業の外資出資比率は40%まで認められています(2013年海外就労・移民法)。
一方、バングラデシュでは、外資奨励の取組みとして、①外資奨励産業に対する優遇措置、②特区の整備、が進められています。①外資奨励産業として、輸出志向産業、ハイテク産業、国産天然資源を活用する産業、国産原料に依存する産業が挙げられており、法人税減免措置等優遇措置を受けることができます。②特区の整備として、輸出加工区(EPZ)や経済特区(BEZA)、ハイテクパークの整備が進められており、進出企業への優遇措置が設定されています。このうち、特に輸出加工区(EPZ)の整備が進んでおり、法人税の免除、建設資材、機械、設備、部品等の輸入関税免除、原材料の輸入関税および完成品の輸出関税免除等の優遇措置を享受することができます。バングラデシュ国内に8のEPZがあり、日本企業が約20社進出しています。EPZへの投資が可能な業種は以下の通りです。
①電子機器、電気部品、電子製品、ソフトウェア光学製品、②編み物、ニット、繊維、③エンジニアリング製品、④皮革製品、⑤靴、⑥玩具、⑦医療器具、⑧医薬品、⑨プラスチック金型製品、⑩ジュートの新利用法を採用している産業、⑪貴石、反貴石の裁断、研磨家庭用備品、装置、⑫特別仕様の衣類、⑬ヘッドウェア宝石、⑭時計、⑮科学測定装置、⑯航空機部品、⑰実験装置、⑱印刷、出版、⑲印刷、複写装置、周辺機器、⑳日曜大工道具、装置、㉑楽器、㉒レーザー技術製品 |
(2) 法人設立の形態
外国人投資家がバングラデシュに事業拠点を設立する場合、以下の5種類の形態のいずれかとなります。
① 現地法人
② 支店
③ 駐在員事務所
④ 連絡事務所
⑤ 公共部門との合弁会社
①現地法人は、バングラデシュ会社法に基づき設立され、バングラデシュ投資開発庁(Bangladesh Investment Development Authority, BIDA)への登録が必要です。②支店、③駐在員事務所、④連絡事務所は、BIDAの承認を得て設立されます。⑤公共部門との合弁会社は、民間部門の出資額が50%を超える場合は、BIDAへの登録が必要です。②支店、③駐在員事務所、④連絡事務所は、海外送金が制限又は認められておりません。また、外国会社とみなされますので、外国投資家の出資割合が一定の比率に制限されている事業活動は認められないなど、外資規制を受けます。