日本企業と海外企業との間の契約書においては、英語を正本とすることが多いです。海外企業が英語が母国語でない場合であっても、例えばタイ企業との間の取引で日本語を正本とすれば日本企業に有利になり、タイ語にすればタイ企業に有利になることから間をとって両社にとって母国語でない英語を正本にすると決めることが多いです。複数の言語で契約書を作成することもありますが、その場合には必ず何語が正本か(優先するか)を決めるようにして下さい。どんなに正確に翻訳しても、全く同じ意味の単語が存在しない場合もあり、どうしても多少のニュアンスや意味の違いが生じます。そのような違いが紛争発生時には影響することもあるため、何語の文章が優先すると定める必要があります。
何語を正本とするかは原則として当事者の合意に基づきます。しかし、国や文書の性質(例えば雇用契約書や就業規則)によっては必ず現地の公用語で作成する必要がある旨規定されている場合もあります。そのため、詳細については現地の法律も知っている専門家へご相談下さい。