【マレーシアの食品輸入に関連する法規制の概要】

(1)はじめに 食品の輸入を一般的に規制する法律としては、関税法(Customs ACT 1967)及び1983年食品法(Food Act 1983)があります。

(2)1967年関税法(Customs ACT 1967) ア 輸入品目規制 1967年関税法の下位規則である2017年関税(輸入禁止)令(Custom (Prohibition of Imports) Order 2017)は一定の品目について規制を課しており、規制対象となる品目は①輸入が完全に禁止される品目(第一表)、②輸入ライセンスを要する品目(第二表)、③一定の手続を要する品目(第三表)、④一定の規格及び手続を要する品目(第四表)という4分野に分かれます。イ ①輸入が完全に禁止される品目(第一表) 輸入が完全に禁止される品目のうち、食品と関係しうるものとして蜂の巣(蜂蜜が含まれているか否かを問わない)があります。ウ ②輸入ライセンスを要する品目(第二表) 輸入ライセンスを要する品目に含まれる食品の例として、米や砂糖があります。エ ③一定の手続を要する品目(第三表) このカテゴリに含まれる食品の例として、肉類、魚介類があります。これらの食品の輸入については、品目に応じて、マレーシア検疫検査サービス局(MAQIS)による輸入許可の取得等の手続が要求されます。オ ④一定の規格への適合及び手続を要する品目(第四表) このカテゴリに含まれる食品の例として、小麦粉、一部の野菜(じゃがいも、トマト、玉ねぎ、キャベツ、にんじん等)(5kgを超過する場合)、ココナッツ(3kgを超過する場合)、一部の果物(バナナ、アボカド、ガバ、マンゴー、オレンジ等)(3kgを超過する場合)があります。

(3)1993年食品法(Food Act 1993) 輸入される食品は、1983年食品法及びその下位規則である1985年食品規則(Food Regulation 1985)が定める安全性や表示に関する要件を満たすものでなければなりません。同法及び同規則によって規制されている食品の輸入に際しては、事前に輸出局の所管官庁により発行された衛生証明書(Health Certificate)、獣医局衛生証明書(Veterinary Health Certificate)、分析証明(Certificate of Analysis)等を取得する必要があります。

(4)輸入時の手続 食品の輸入手続の基本的な流れは以下のとおりです。これらの手続に加えて、品目に応じて上記規制に基づく手続が要求されることとなります。①食品の輸入者等はFood Safety Information System of Malaysia(FoSIM)に登録をします。②食品の輸入者等は個々の輸入に際しCustoms Information System(CIS)輸入の申告をし、FoSIMを通じて輸入の詳細(目的、食品の詳細等)に関する情報を提出します。③到着した食品に対し保健省(Ministry of Health)の職員による検査が実施されます。この検査の内容はFoSIMを通じて提供された情報に基づくリスク評価によって決められます。④課税対象となる場合、輸入者等は関税を支払います。⑤関税の支払及びその他の要件が満たされていると判断した場合、税関は輸入を承認します。

本記事の詳細は当事務所へお問い合わせ下さい。