(1) 休日
マレーシアの雇用法(Employment Act 1955)は、使用者は労働者に週に1日の休日を与えなければならないと規定しています(雇用法59条1項)。そして、使用者は、原則として休日における勤務を労働者に強いることはできませんが、一定の場合(時間外労働を認める場合と同様の場合等)には例外が認められます(雇用法60条1項)。
使用者が労働者を休日に労働させた場合には、休日割増手当を支払わなければなりません。具体的には、月給制により雇用されている労働者の場合、休日における労働時間が「所定労働時間」の半分以下であれば賃金の半日分、労働時間が「所定労働時間」の半分を超えて1日以下の場合は通常の賃金の1日分、労働時間が「所定労働時間」を上回る場合には通常の時間給の2倍以上の時給額で計算された金額を支払う必要があります(雇用法60条3項)。
(2) 祝日
労働者は、雇用法に基づき、1 公示された祝日のうち11日、及び2 祝日法(Holidays Act 1951)に基づいて指定される祝日について、有給休暇を取得する権利を有します(雇用法60D条1項)。1については、国家記念日・国王誕生日・州首長の誕生日(又は連邦直轄市デー)・メーデー・マレーシアデーの5日間が必ず含まれます(同項)。残りの6日については一次的には雇用者が指定しますが、雇用者と労働者の合意により他の日に置き換えることができます(同条1A項)。また、2についても、使用者は指定された祝日に代えて、別の日を休みとすることができます(同項)。
使用者は労働者に対して祝日における勤務を求めることができますが、その場合には、有給休暇としての1日分の賃金の支払いに加え(実際の就業時間が「所定労働時間」下回る場合も含む)通常の賃金額の2日分を支払わなければならなりません(60D条3項)。また、その日の勤務時間が「所定労働時間」を超える場合、使用者は通常の時給額の3倍以上の時給額で計算した金額を支払わなければならなりません(同項)。
(3) 年次有給休暇
労働者には、勤続年数が2年未満の場合は年8日、2年以上5年未満の場合は年12日、5年以上は年16日の年次有給休暇が与えられます(雇用法60E条1項)。また、労働者は、有給取得権を与えられた年又はそれに続く1年の間に有給休暇を取得しなければならず、当該期間内に有給休暇を取得しなかったときはその権利を喪失することとなります(雇用法60E条2項)。もっとも、労働者が会社の要請により有給休暇の取得権の全部又は一部を行使しない旨を書面により同意した場合は、労働者は会社から有給休暇に代わる手当の支払いを受けることができます(同項)。
不正行為を理由とする解雇による場合を除き、雇用契約がいずれかの当事者からの申入れによって終了されたときは、使用者には労働者に対し未取得の有給休暇の日数に対応する賃金相当額を支払う義務が生じます(雇用法60E条3A項)。
(4) 病気休暇
病気休暇は医師による診断を条件に付与される(雇用法60F条1項)もので、その日数は勤続年数が2年未満の場合には年14日、2年以上5年未満の場合は年18日、5年以上の場合は年22日まで取得が認められます(同項(b))。また、入院が必要な場合には、年60日まで取得が認められます(同項)。
病気休暇は医師による診断を受けていることを条件とするものであるため、そもそも医師による診断を受けていない場合には無断欠勤とみなされます(雇用法60F条2項)。また、診断を受けていたとしても休暇の開始から48時間以内に使用者に連絡をせず、かつ、連絡をしようとしなかった場合も同様に扱われます(同項)。
(5) 出産休暇
雇用法は、前記の休日・休暇のほかに、女性労働者に対して60日間の出産休暇を取得する権利を付与しています(雇用法37条1項)。詳細は、TNY Group Newsletter No.10をご参照ください。
4.ミャンマー
ミャンマーでは、休暇及び休日法(Leave and Holidays Act)において休日・休暇について規定されています。
(1) 週休
使用者は、労働者に1週間に1日以上有給休暇を与えなければなりません(休暇及び休日法第3条(4))。
労働者が週休に労働した場合、当該労働者は祝日でない週休前後3日のうち1日を代休として付与されます。当該代休に関し、残業代は支払われません。また、労働者が連続して10日間を超えて労働することになる代替を行ってはいけません。
(2) 休暇
休暇及び休日法では、法定休暇として、有給休暇、臨時休暇、医療休暇、出産休暇が定められています。
1 有給休暇
年間10日の有給休暇が認められており、有給休暇は、12カ月連続の業務期間を完了し、かつ各月20日以上働いた場合に付与されます。20日間働いていない月においては、月ごとに1日の有給休暇を失います(休暇及び休日法第4条(2))。
労働者が有給休暇を全て取得する前に、退職、解雇、死亡した場合、残存有給休暇日数に対して当該事由発生日直前の30日間の平均日給により計算した額を使用者は労働者に対して支払わなければなりません。当該支払いは、退職又は解雇の場合は2日以内に、死亡の場合には請求受領後できる限り早く支払わなければなりません(同法第4条(5)及び休暇及び休日規則第40条)。
2 臨時休暇
1年で合計6日間の有給の臨時休暇が認められていますが、臨時休暇1回あたりの取得期間は最大3日間となっています。臨時休暇は他の種類の休暇と合わせて取得することは認められておらず、また翌年に繰り越すことはできません(休暇及び休日法第5条)。
3 医療休暇
全ての労働者は、1年間に30日を超えない範囲で有給の医療休暇が認められています。社会保障の対象でなく、かつ、6か月の勤務を完了していない労働者は、無給の医療休暇を要求することができます(休暇及び休日法第6条(1))。医療休暇は翌年に繰り越すことはできません(同法第6条(4))。
4 産休
休暇及び休日法にて、産前6週間、産後8週間の有給での産休が認められており、産休は、医療休暇と合わせて取得することができます(休暇及び休日法第7 条(A))。詳細は、TNY Group Newsletter No.10をご参照ください。