【ミャンマーの遺言に関する法制度の概要 】

ミャンマーにおいて遺言は、1925年相続法(The Succession Act(以下、「相続法」という))にて定められています。

遺言には、非特権遺言と特権遺言の2種類があり、非特権遺言とは、遠征に従事した又は実際の戦争に従事した兵士、又はそのように雇用された又は従事した空軍兵、又は海上での船員を除く遺言者が、以下の規則に従い遺言を実行することを意味します。

  1. 遺言者は、遺言に自身の署名又は押印を行う又は、遺言者の立会いの下、他の者が署名する。
  2. 遺言者の署名又は押印、遺言者の代わりに署名した者の署名は、遺言として書かれていることに影響を与えることを意図して見えるように配置する。
  3. 遺言は、2人又はそれ以上の証人により証明され、それぞれが、遺言者が遺言に署名又は押印すること、または遺言者の立会いの下他の者が遺言に署名することを見届ける、または遺言者の署名又は押印、または当該他の者の署名の個人的な承認を遺言者が受け取ったことを証明する。また各証人は、遺言者の面前で遺言に署名しなければならないが、同時に複数の証人が立ち会う必要はなく、特定の形式の証明は必要ない。(相続法第61条)

特権遺言とは、遠征に従事した又は実際の戦争に従事した兵士、又はそのように雇用された又は従事した空軍兵、又は海上での船員が未成年(18歳未満)ではない場合、第66条による規定に従い、遺言によって財産の処分をすることができると定められています。(相続法第65条)

しかし、相続法第4条にて、ヒンズー教徒、ムハンマダン教徒、仏教徒、シーク教徒、またはジャイナ教徒に関して遺言による継承は認められていません。また、ミャンマーの人口の半数以上を占める仏教徒を含む上記教徒は、法的に遺言を行うことは認められていないとの判例があります。したがって、ミャンマーにおいては遺言を活用することは実務上難しく、相続制度を理解した上で、事前に株式や不動産について契約書上適切な対応を行う必要があります。