マレーシアにおいて、労働組合は労働組合法(Trade Unions Act 1959)及び労使関係法(The Industrial Relations Act 1967)によって規律されています。
(1) 労働組合
1 概要
労働組合法上の労働組合とは、以下のうちいずれか又は複数の目的を有していなければならないと規定しています(労働組合法2条)。
- 労働者と使用者間の良好で調和のとれた労使関係の促進、労働者の労働条件の改善、経済的社会的地位の向上又は生産性の向上を目的とした労働者と使用者の関係の規律
- 労働者と労働者の間、又は使用者と使用者の間の関係の規制
- 労働紛争における労働者又は使用者の代理
- 労働紛争及びそれに関連する事項の実施又は処理
- 特定の職業又は業界におけるストライキ又はロックアウトの促進、組織化又は資金調達、あるいはストライキ又はロックアウト中の組合員に対する給与その他の手当の提供
2 労働組合の登録
労働組合は、一時的か恒久的かを問わず、労働者や使用者が特定の産業、職業又は組織の中に組合を設立することを合意することにより設立されます(労働組合法9条1項)。全ての労働組合は設立日から1カ月以内に、同法に基づき労使関係局長に対し登録の申請をしなければなりません(労働組合法8条1項)。申請には最低でも構成員7名の署名、労働組合規則の添付及び手数料の支払いが必要となります(労働組合法10条1項)。
登録を受けた労働組合は自身の名で訴え又は訴えられることができます(労働組合法25条1項)。
3 使用者の禁止行為
使用者は、労働組合の活動に対して以下の行為を行うことができません(労使関係法5条1項)。
- 雇用契約において労働組合への加入を禁止すること
- 労働組合の組合員であることを理由に採用を断ること
- 労働組合の組合員であることを理由に労働条件を差別すること
- 以下の理由により労働者を解雇すること
- 組合員である、組合員になろうとすること、他の労働者に対し労働組合に加入するよう説得したこと
- 労働組合の活動に参加したこと
(2) ストライキ及びロックアウト
以下の状況下においては、労働者の労働組合はストライキを召集することができず、労働組合の構成員はストライキに参加することができず、使用者の労働組合はロックアウトを宣言することができません(労働組合法25A条1項)。
- 労働者の労働組合においては、ストライキへの参加資格を有する組合員の2/3以上の同意を秘密投票において得ていない場合
- 使用者の労働組合においては投票権を有する組合員の2/3以上の同意を秘密投票において得ていない場合
- 労使関係局長に秘密投票の結果を提出してから7日間が経過していない場合
- 秘密投票の要件を満たしていなかったことによりストライキ又はロックアウトについての秘密投票が無効になった場合
- 労働組合規則に違反している場合
- 人的資源省大臣によってなされた指示又は決定に含まれる事項に関するものである場合
- 同法その他の法律に違反するものである場合