特許権は知的財産権の一種で、共和国法第8293号(通称「知的財産法」)において規定されています。人間のあらゆる活動分野における問題の技術的解決であって、1) 新規性があり、2) 進歩性があり、3) 産業上適用可能であるものが特許性のある発明と認められ、同法によって保護されます。知的財産法22条には特許性を認められない発明が列挙されています。
特許権は発明者本人、承継人、あるいは譲受人に属します。二人以上が同様の発明を独立して行った場合、その権利は出願日の最も早い者、あるいは優先日の最も早い者に与えられます。依頼にもとづく制作物については依頼主に、被雇用者が雇用期間中に制作した物については雇用者に、それぞれ特許権が属することになります。
特許権の保護を受けるためには、知的財産庁(IPOPHL)の支局である特許局に対して特許出願する必要があります。またフィリピンは1970年に作成された特許協力条約(PCT)の加盟国でもあり、国際特許出願および登録を行うことで他の加盟国内においても同時に保護を受けることができるようになります。
特許を取得するためには、1) 特許を求める申請書(申請者の氏名その他の情報、発明者、代理人申請の場合は代理人の名称及び発明の名称を含む。)、2)発明品の説明、3)発明品を説明するために必要な図面、4) クレーム、5)特許の要旨を知的財産庁に対し申請しなければなりません。申請においては、必要十分な方法をもって、当該技術に熟練した者が実施できるように、発明内容が開示される必要があります。
特許の要旨は、可能な限り150語を越えない範囲で、発明品の説明、クレーム及び図面に記載の発明の内容に関する簡潔なまとめを含んでいることが要求され、また、技術的な課題、発明が提示する問題解決の要旨及び発明の主たる用途を明確に説明する必要があります。
必要書類の提出日を出願日として、当該出願日から18ヶ月後、知的財産庁の公報に申請内容及び先行技術に関する調査結果が公表されます。当該公報の発行後、申請者は、クレームの範囲内において、当該発明の特許権を、権限のない第三者に対して行使できるようになります。ただし、当該第三者が、その使用する発明が広報において公開された申請内容であることを実際に知っていた場合又はその旨の通知を書面で受け取っていた場合に限られます。利害関係を有する第三者は、申請書類を確認し、発明の特許性について見解を述べることができます。
申請が認められると、知的財産庁の公報にて公開され、公開日をもって当該特許は有効となります。仮に申請が拒絶された場合、申請者は知的財産庁長官に異議申し立てすることができます。
特許はフィリピン共和国の名で付与され、知的財産庁長官の署名及び知的財産庁によって押印されます。そして、発明の説明、クレーム及び図面と共に登録され、出願日から20年、特許協力条約にもとづく申請は当該出願をした日から20年間有効です。