【メキシコにおける取締役に関する法規制の概要 】

(1) 取締役の要件

 株式会社(Sociedad de Anónima)においては、取締役は1名以上選任される必要があります。

 国籍要件や駐在要件といった制限はなく、取締役はメキシコ国籍を有する必要もなく、またメキシコに常駐する必要もありません。唯一、取引の資格を失った者は取締役になることができないとされており、公的仲介人(Corredor Público:商取引において、鑑定人としての役割、法的助言を与える役割、紛争の仲介人としての役割および公証人としての役割を果たすメキシコ連邦政府から認可された法律の専門家)、更生していない破産者、偽造、横領、収賄、強要など財産に対する犯罪で有罪判決を受けた者がこれに該当します。

(2) 権限及び義務

 取締役は、業務執行の権限および権限の範囲内での委任、執行役(Gerente)の選解任の権限、株主総会の招集の権限を有します。

 また、取締役は、定時株主総会に先立つ事業報告や計算書類の提出義務、法令や定款への順守義務、利益相反時に取締役会の審議および決議を棄権しなければならない義務、守秘義務(在任期間及び退任後1年間)、不正に関する監査役への告発義務を負います。さらに、取締役は、株主による出資の真正、株主へ支払われる配当金に関する法的要件および定款の遵守、会計・管理・登録・記録文書または情報のシステムの存在と維持の確認、株主総会決議事項の遵守について、責任を負います。

(3) 解任

 取締役の解任は、通常株主総会で決議することによって行うことができます。