【ミャンマーの電子署名制度と活用における課題】

(1) 電子署名に関する法律

ミャンマーにおける電子署名を規律する法律としては、電子取引法 (Electronic transaction law 2004/5)および改正証拠法(Amending Law on Evidence Act (73/2015))があります。ミャンマーでは、電子署名は法的に有効ですが、政府機関に対しては、特定の取引を除き、電子署名の使用が認められておらず、実質的に使用が制限されています。

(2) 電子署名の定義

電子署名とは、「電子記録の情報源の真実性および修正または差し替えがないことを確認するための、電子技術またはその他の類似の技術によって個人または代理人により作成された記号またはマーク」と定義されます(電子取引法2条(f)項)。

また、電子記録とは、「電子的、磁気的、光学的、その他の同様の技術によって、生成、送信、受信、または保存された情報システム内の記録」と定義されます(同法2条(c)項)。

(3) 電子署名の有効性等

電子署名は、法律上の要件を満たせば有効であるとされます(電子取引法19条(a)項および(b)項)。また、裁判所において法的に有効な証拠とされます(改正証拠法67A条)。

電子署名が有効とされるためには、発信者および受信者は、規定された手段または両者の間に別段の合意がある場合にはその合意の手段に従って、電子記録、電子データメッセージまたは電子署名を送信、受信または保存をしなければならないとされています(電子取引法20条)。

また、署名者は、電子署名と電子データメッセージの関係を識別する証明書を取得するために認証機関に申請する必要があります(同法16条)。

なお、署名者は、電子署名の復号化により有効な署名を用いる場合に、他人によって違法に使用されないように注意する、付与された期間中に電子署名のために発行された証明書を使用する際に、署名者に関連する事実または差し込まれた事実が完全に正確であるように注意する義務が課されています(同法17条(a)、(b)))。そして、署名者は、これらの義務に違反したことにより生じた損害および損害の結果について責任を負うとされています(同法18条)。

(4) 真実性の判断

電子署名の真実性の判断は、電子取引法により設置された電子取引管理委員会によって行われます。