- 電子署名制度の概要
フィリピンでは、電子商取引法(the E-Commerce ACT)に基づき、電子署名制度は、従来の手書きの署名制度と同等のものとして認識されています。
電子署名は、以下の要件を満たす場合、手書きの署名と同等の効力を有します。
(a)利害関係者が当該文書を改ざんできない所定の手続に基づくこと(電子商取引法第8条)。
(b)契約当事者を特定することができ、かつ、当該当事者が電子署名を通じてされる同意または承認についての電子文書にアクセスできることを示された方法に基づくこと(電子商取引法第8条[a])
(c)(b)に記載された方法が、関連する合意を含む全ての状況に照らして、電子文書の作成目的に応じた信頼性があり適切であること(電子商取引法第8条[b])
(d)契約当事者が、電子署名を実行すること(電子商取引法第8条[c])。
(e)相手方が、電子署名を検証し取引を進める決定をしたこと(電子商取引法第8条[a])
なお、電子署名とは「変換されていない最初の電子文書と署名者の公開鍵を持つ人が正確に判断できるような、非対称暗号システムまたは公開暗号システムを用いた電子文書または電子データメッセージの変換からなる電子署名」と定義されています。
2. 電子署名による契約の有効性
電子署名による契約は、電子文書として、電子商取引法のもとで法的に有効とされています。また、電子文書は、書面により作成された文書と機能的に同等であるとされています(RCBC Bankard Services Corp. v. Oracion, Jr., G.R. No. 223274, 19 June 2019)。
電子署名による契約が有効であることを証明するためには、以下の手段が考えられます。また、電子証拠法に関する規則に基づき、陳述書を提出する必要があるとされています(電子証拠規則第9条1項)。
(a)当事者が使用し、検証した電子署名に関する証拠を提出すること(同規則第6条第2項)。
(b)その他法律で定められた証拠を提出すること(同規則第2条[b])
(c)電子署名の真正性を立証するその他の証拠を提出すること(第2条[c])